眩い、と思った。
金ちゃんのテニスは、眩しい。
金ちゃんはお日様やねえ、と千歳が言ったときその通りだと思った。
眩しすぎておれには直視できない。
どこまでも自由な獣のように、空に向かって咆哮する。
何にも縛られない、永遠のような、壮烈な光をおれは知らない。
それはおれの欲しかった全て。
どんなに望んでも手を伸ばしても決して届かなかった全て。
なんでおれの前に現れたんや。
悪夢が具現化したようだった。
それはあまりにも残酷すぎる光で、世界は鮮やかにおれを裏切った。
ああ、呼吸が上手くできない。
「金ちゃんがお日様やったら、白石は月たい」
降り注いだのは柔らかい影。
強烈すぎる光から守るようにおれの前に立っていたのは千歳だった。
千歳の薄い茶色の瞳がおれを照らす。
「お日様の光を受けて、優しく世界を照らす、月の光ばい」
おれはどっちも好きと。
お日様の下で寝るんも、月明かりの下を散歩するんも。
やんわりと千歳はおれを肯定した。
月の色ばい、と千歳は幼子をあやすようにおれの髪を撫でる。
その手は大きくてあたたかくて、まるで太陽のようだと思った。
蒲公英の色をした優しい光。
ゆっくりと世界が広がって、おれは酸素を取り戻す。
おれの目は驚くほどあっさりと光を受け入れた。
おれは、金ちゃんにはなられへん。
あたりまえや。
なんでこんな簡単なことがわからんかったんや。
ゆっくりと息を吸う。
まどろみの中、夢の続きを見るようにおれは静かに目を閉じる。