何故これほど彼を毛嫌いしてしまうのかわからなかった。
俺の全身の細胞に、全ての遺伝子に、彼を嫌うことが組み込まれているかのようだった。
普通に考えればおかしいことだった。
これほどまでに、人からの憎悪を、嫌悪を、あらゆる負の感情を一身に受けるなんて。
人の醜くておぞましくて汚らわしくて、そういう、あらゆる負の感情の集合体が、彼なのだと、そう思った。
好きで彼がそう生まれたわけではないということは、わかっている。
それでも、俺は彼を見ると震えが止まらなかったし、その声を耳にするだけで、その姿を視界にいれるだけで吐き気がとまらなかった。
同じ場所に立って同じ空気を吸うことすら躊躇われ、恐ろしかった。
ただそこに在る、それだけで、彼は人を壊すことができた。
きっと、人並みに笑うことを泣くことを怒ることを楽しむことを、生きることを、全ての権利を剥奪されて、彼はこの世に生まれ落ちたのだ。
人から嫌われるためだけに、憎まれるためだけに、神様は、彼を創りあげたのだ。
『きっと、悪夢が具現化したら、僕のような形をしているんだろうね』
そう言って彼は俺を見下ろすと恐ろしいほど綺麗に笑った。