何故これほど彼を毛嫌いしてしまうのかわからなかった。 俺の全身の細胞に、全ての遺伝子に、彼を嫌うことが組み込まれているかのようだった。 普通に考えればおかしいことだった。 これほどまでに、人からの憎悪を、嫌悪を、あらゆる負の感情を一身に受けるなんて。 人の醜くておぞましくて汚らわしくて、そういう、あらゆる負の感情の集合体が、彼なのだと、そう思った。 好きで彼がそう生まれたわけではないということは、わかっている。 それでも、俺は彼を見ると震えが止まらなかったし、その声を耳にするだけで、その姿を視界にいれるだけで吐き気がとまらなかった。 同じ場所に立って同じ空気を吸うことすら躊躇われ、恐ろしかった。 ただそこに在る、それだけで、彼は人を壊すことができた。 きっと、人並みに笑うことを泣くことを怒ることを楽しむことを、生きることを、全ての権利を剥奪されて、彼はこの世に生まれ落ちたのだ。 人から嫌われるためだけに、憎まれるためだけに、神様は、彼を創りあげたのだ。

『きっと、悪夢が具現化したら、僕のような形をしているんだろうね』

そう言って彼は俺を見下ろすと恐ろしいほど綺麗に笑った。




綺麗な色しか見たくない

title 彗星03号は落下した / 20130313