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びゅん、と風が吹いて岳人の髪が宙を舞う。
それは自然発生的に生じたものではなく人為的に引き起こされた風だった。
お弁当を広げた生徒たちで賑わっている昼時の3年C組。
廊下側、窓際に一番近い席に座って弁当を広げて、いただきまーす。と手を合わせて今にも弁当を食べようとしていた宍戸と岳人は思わず廊下を凝視した。 「・・・おれの見間違いじゃなけりゃ今の侑士だよな?」 「・・・あいつ足早いんだな」 姿が見えたのは一瞬だった。 が、あのもっさりとした青い髪と眼鏡を見間違えるはずがない。 風のように廊下を駆け抜けていった氷帝の天才の顔は珍しく本気(マジ)で、一体何があったのだろうかと岳人と宍戸は箸を持ったまま顔を見合わせた。 「てめっ、忍足!待ちやがれ!」 続いて廊下を駆け抜けていったのは泣きボクロがチャームポイントの我らがキング。 その麗しい横顔にははっきりと目に見て取れるほど見事な青筋が浮かんでいたとかなんとか。 ・・・一体何したんだあいつ。 茫然として宍戸と岳人は二人が駆けて抜けていった方向を見ていた。 |